認知的不協和が引き起こす愚行、人はなぜ失敗から学ぶことが苦手かについて、様々な事例を用いて紹介した本。認知的不協和とは、自身の認知とは矛盾した別の認知を抱えることによるストレス状態、不快感のこと。これを脱するために、正当化や記憶のすり替えといったことが起きる。
読んでいて辛くなってくる内容が多いが、マージナル・ゲイン、リーン・スタートアップ、RCT、プレモーテムといった具体的な学びも多い。印象的なエピソードとして、非難が引き起こす悪影響についてがあり、これは強く意識しておきたいと感じた。
The GitLab Handbook の内容をベースに、リモート組織のメリットやデメリットへの対策、どのように組織を作り上げていくかが紹介されている。
徹底されたドキュメント文化や、GitLab社が理想とする社員の振る舞い、人材マネジメントや人事評価に至るまで幅広い内容となっている。リモートワークを前提としていない組織においても参考になる部分は多くあると思う。
個人的には、会議はプロポーザルをレビューする場、同意しないがコミットする、といった内容が個人的な価値観とも一致していた。
また、多様性を重視する組織として、人材採用で大切なのはカルチャーマッチではなくカルチャーアドであり、バリューマッチこそ必要という主張は目からウロコであった。
以前半分くらい読んで積んでいたもの。業務で使うことになったので改めて読み直した。
4章までが GraphQL とは何かを説明した内容で、5章以降は小さなアプリケーションを実装するハンズオン形式となっている。ハンズオンはやや GraphQL とは関係の無いものも多く、一応全て目を通したものの自分のニーズとしては4章までで十分だった。
改めて、技術書は実践に即したものを読むと理解が進んで良いなと思った。
対人恐怖症を克服するために飛び込み営業の世界に挑戦し、百戦錬磨の営業力を身に着けた著者の営業メソッド。メソッドが有効である裏付けとして、顧客アンケートの結果分析が随所に現れる。この裏付けについては少し確証バイアスを感じるところがあるが、本書で紹介されるソリューションの数々には十分な説得力があった。
話は、案件を楽勝、接戦、惨敗に分け、接戦をいかにものにするかという前提で進む。表題にある3つの質問とは、接戦状況を問う質問、決定の場面を問う質問、裏にある背景を問う質問として紹介される。特に、成否問わず決定の場面において、何が決定打となったのか、顧客から聞くことで改善を積み上げていく話が印象的だった。また、4つの力はそれぞれ、質問力、価値訴求力、提案ロジック構築力、提案行動力として紹介される。中でもSPIN営業(「Situation(状況質問)」「Problem(問題質問)」「Implication(示唆質問)」「Need payoff(解決質問)」)、案件フェーズごとに適切に顧客から情報を引き出すヒアリング力が重視されており、そこから提案を導き出す手法が構造化されていて読み応えがある。
著者は Teachme Biz というクラウドマニュアル作成共有サービスを手掛ける企業の方。
仕組み化とは、見える化、標準化、マニュアル化、ツール化の4ステップであると解説されている。
見える化では、日々の業務を、A.感覚型業務、B.選択型業務、C.単純型業務の3つに分ける。そして、BとCを標準化する対象とする。標準化は、業務のインプット、プロセス、アウトプットに着目する。インプットの標準化とは、使うものを統一し前提条件を合わせること。プロセスの標準化とは、もっともシンプルで簡便な手順にすること。アウトプットの標準化とは、完了基準と確認ポイントの明確化をすること。マニュアル化については、作成、配布、改定、運用の4つの壁があり、それを解消するために Teachme Biz を開発したことが紹介されている。
前半の見える化、標準化の章の掘り下げ具合と比較して、後半のマニュアル化とツール化の章は、自社サービスの紹介に留まった印象があり、もう少し掘り下げた内容を読んでみたかった。全部で200ページも無いのでサラッと読める。
マイクロサービスアーキテクチャーの特性、検討に値する事項、組織論に至るまで、広範囲のテーマをカバーしている。結構なボリュームながら、どのテーマも細部を描きすぎない程度で読み進めやすい。私事として、freeeでの3年間におよぶSRE/Platformチーム経験プラスアルファ以上が1冊にまとまっている印象を受けた。
LeanとDevOpsの科学、チームトポロジーによって語られたハイパフォーマンスな組織の特徴やコミュニケーションパターンを、マイクロサービスアーキテクチャーの実践に対する背景説明にうまく融合させている。
また、マイクロサービスアーキテクチャーを銀の弾丸と捉えないことを強く主張しており、ソフトウェアアーキテクチャーの基礎でも強く主張されていた通り、様々なトレードオフを吟味した上で、選択肢の1つとして捉えることを主張している。
そういった前提をもとに、マイクロサービスアーキテクチャーが有効となる例や、採用する際に検討しておくべきことなど、広範を概念レベルで抑えており、現代ソフトウェアエンジニア必読の書という印象だった。
翻訳に少しクセがあり読みづらさを感じなくもないが、内容は非常に充実しているのでおすすめできる。