トヨタの品質や仕事改善に対する考え方が紹介されている。これまで成功を納めてきた様々な企業の思想を体現した内容になっているように思えた。
例えば、徹底的に無駄を省くという思想は、京セラ稲盛氏の伝える筋肉質な経営と繋がる価値観だ。また、改善を進めるためには基準が必要であるという考え方や、失敗は書き残し振り返るといった話については、Google SRE のエラーバジェットや SLO、ポストモーテムといったプラクティスに近い。大部屋方式はチームトポロジーのストリームアラインドチームと同じ考え方に思える。
ビジネスウォーズというポッドキャストにトヨタ対ホンダというシリーズがあり、そちらもおすすめ。
アイデアを生み出す行為を体系的なプロセスとしてまとめた意欲作。解決したい1つの課題を複数のサブ課題に分解し、それぞれのサブ課題のソリューションを、領域内と領域外から複数見つけ出す。領域内とは課題と関連性が高いことを指し、反対に領域外とは課題と関連性が低いことを指す。
例えば、スーパーマーケットの収益を上げるには?という課題に対し、レジの待ち時間を短縮するには?というサブ課題があるとしよう。このサブ課題の領域内ソリューションには、キャッシュレス決済の導入はどうだろうか。そして、領域外ソリューションには、ファストパスとする。ファストパスは、テーマパークなどで待ち時間を減らすために考案されたソリューションだが、スーパーマーケットとの関連性は低い。
このように、複数のサブ課題と、複数の領域内・領域外ソリューションを用意したら、それらを組み合わせてアイデアにまとめる。5つのサブ課題に対し、5つのソリューションを出した場合、3125パターンのアイデアの種ということだ。著者も主張する通り、実際に自分で少しやってみると、アイデアを導くためには、領域外のソリューションを見つけだすことが重要で、かつ楽しい行為でもあった。
OKRがいかに企業を成功に導くか、たくさんの事例とともに紹介した本。本書の大半は、事例と共にOKRはこんなにも素晴らしいものだという内容が続く。実際に、OKRを取り入れたい企業がどのようなステップで導入し運用するかは、巻末の付録にある程度まとまっている。
個人的な感想として、OKRを運用する上でポイントだと感じることに、アラインメント継続的パフォーマンス管理があると思う。会社レベルのオブジェクティブとチームレベルのオブジェクティブが連動しており、それを継続的にトラッキング、評価する。これにはタフなマネジメントが求められる。本書にもあるが、従業員がそれぞれリーダー的な思想を持つことが重要というのは、個人的な感覚からもその通りだなと感じる。
また、ストレッチ目標に対してシニカルな視線を向けず本気で取り組めるチーム作りも重要だなと思う。ストレッチ目標に対して、本書でボノが言っていたとされる印象的なフレーズがあったので引用したい。
「まずエベレストをイメージして、それから登るのがどれだけ難しいかを説明する。最後に頂上に立つ方法を考える」まずはどこが難しいのかを説明するんだ。そうすれば必ず登れる。
仕事のほとんどの部分は打ち合わせであり、それを最大限に効率化することが生産性を高める。
全ての打ち合わせを真剣な試合として望み、その場で必ず物事を進捗させる。そのために必要な事前準備、ファシリテーション、参加者側が意識すべきことなどがまとまっている。
シンプル簡潔な読みやすい語り口でサラッと2〜3時間で読める。
モブプログラミングの始め方、続け方について、エンドツーエンドで解説を試みている本。
解説は、モブプログラミングとはリソース効率ではなくフロー効率を重視した取り組みである、といった効用の話だけではない。どのように上司や同僚を説得するか、オフィス環境を用意するか、などなど、フロー効率を高めるための組織論といった内容となっている。
要点が簡潔にまとめられていて読みやすく、2〜3時間で読める。ただ価格は少し高いか(¥1,980)。
ノートテイキングの指南書。
PARA と CODE と呼ばれる方法で情報を分類、整理する。PARA は、Project、Area、Resource、Archiveの頭文字を取ったもの。CODE は、Capture、Organize、Distil、Express の頭文字を取ったもの。
日々のあらゆる情報を、現在進行系で取り組んでいる短期的なことは Projectへ。中長期的なテーマは Area へ。どちらにも当てはまらないものは Resource へ。不要になったら Archive へ保存する。
情報は、Webの記事や書籍、その他のあらゆるリソースからのクリップやメモを指す。Capture した情報をPARA に分類(Organize)し、後で要点を蒸留(Distil)し、最終的に何らかのアウトプット(Express )に繋げようという話。このクリップやメモの集合が第二の脳〈セカンドブレイン〉というわけだ。
自分は日々の情報整理に課題があると自覚していたが、この本から着想を得てオリジナルの情報整理術を編み出した。うまく軌道に乗ればまた紹介したいと思う。
本書にも印象的なフレーズがあったので引用。
1日の終りになんらかのアウトプットか結果を示すことができなければ、あなたが生産的であったかどうか疑わしい