プログラマーがコードを整頓することの重要性、いつやるべきかなどについて簡潔にまとめられた本。2〜3時間で読める内容。自分が普段考えていることにも近く基本的な内容となっているが、ある程度ソフトウェア開発の経験を積んでから読まないとピンと来ないところはあるかもしれない。
解脱、涅槃とは何であるのかについて考えることが主題。
世間はすべて諸行無常であるから実体我は存在しない。しかし無常な経験我は個体性として個々人に存在している。これが無我である。しかし、解脱したとの智が生じると、その時点で決定的に転換しそれ以後も変わることがないという。これには矛盾を感じると思いきや、緑生の現象は無常であるが、それを超えた涅槃においては常であると説かれた。
智慧によって煩悩の流れを塞ぐことが出来た状態が涅槃なのであれば、涅槃に至っては例えば淫欲の繋縛など不要であろう。ただそこに在るというだけ。
仏教に関する本を読めば読むほどピンと来ないが、この本は少しわかった気になれる気がした。
GitLab で実践されているドキュメンテーションについて紹介した本。過去に同シリーズとして GitLab の組織構造を紹介した本が面白かったのでこちらも読んだ。
率直な感想として、ドキュメントライティングについて学びたい場合は Docs for Developersをおすすめしたい。本書はあくまで GitLab での実例をベースにドキュメントの力を語った内容であり、体系的にドキュメントライティングを学ぶ感じではない。とはいえ、GitLab の思想的な部分であったり、個人的には引用と出典の書き方に学びがあった。
ドキュメントに書き出すことによってバイアスの影響を受けていることが確認できるという内容があったが、経験的にはそれでも難しいと思う。口頭にも文書にもバイアスは現れ、人に指摘されるまではなかなか気付けない。バイアスの問題はドキュメンテーションによって解消できる気はしない。口頭よりレビューがしやすいという側面はあると思うが。
それから常々Slackの履歴は消えた方が結果的には良いと公言してきたが、GitLabもその考えのようだった。しかし、近年の生成AIの台頭により、ドキュメントオーガニゼーションに対するアプローチも変わって行きそうな気はする。それでも、ドキュメントライティングはエンジニアにとってまだしばらく必須の技術という気はする。
30代中頃までは、毎晩飲まないと気が済まなかった。36歳くらいのとき、これをやめたらどうなるのだろうという興味で半年ほど禁酒したら7kgほど体重が減った。あれからまた5年。今では朝は6時に起きて9kmのジョギングをし、週に2日は1時間の筋トレが日課となった。それでも、週末だけと決めて未だに飲んでいる。仕事とプライベートの切り替えという意味付けをしてしまっている感じがあり、金曜の夜は解放されたような気持ちで飲む。まぁ週末だけだからと。今のところ健康被害は特に無い。しかしこれを辞めたい。飲むと時間がもったいないし、翌朝の気分も良くない。それでも飲み友達との関係は維持したい。そう思って読んでみた。
お酒は薬物であるという認識は無く、その点において読んでよかった。でも飲み友達との関係を維持するのはどうやら難しい印象だった。飲み友達と飲むときだけ飲む、といった都合のよい飲み方はできる気がしないが、それでもまずはそれにチャレンジかな。
私はソフトウェアエンジニアとしておよそ15年のキャリアを持つ。これまで4社で働き、そのうちの5〜6年はマネージャーとして勤務した。
現職では、社内の肩書はプリンシパルエンジニア、いわゆる部下を持たない Individual Contributer である。他社ではスタッフエンジニアと呼ばれることもあるかもしれない。社内にロールモデルは存在せず、むしろ私にロールモデルとしての振る舞いが期待される。
そういうわけで、同じ境遇のエンジニアが何を考えて働いているかを知ることが出来る本書には、一読の価値があった。
本書によると、スタッフエンジニアが重視すべきポイントはとてもシンプルであり、あなたは何を重視するか、ということだ。1番重要なことを考え、組織を巻き込み、実現する。そのためには、大局的な思考を持ち、実行力を持ち、自他をレベルアップすることが必要である。この建付けにはとても共感し、日々私が考えていることでもある。
印象的だった言葉に、他の人があなたと一緒に働きたいと思うかどうかが成功の指標です、があった。これは自分の観点には無く、良い気づきを得ることが出来た。
スタッフエンジニアであっても、マネージャーと同等のコミュニケーションスキルが求められることは日々感じている。それは職種に纏わるものではなく、自身の影響力に纏わるものであると思われる。本書の内容の多くに、えらく回りくどい政治的なアドバイスがめだつのもそのせいだろう。しかし、スタッフエンジニアが自律的な行動で機能するためには、ビジネスを理解し、組織を理解し、マネージャーと同じ大局観を持つ必要があることは間違いない。
本書をスタッフエンジニアの道標とは出来ない。自分で見極めるしかない。そんな思いにさせられる良書だった。