Shoho Kozawa

February 25, 2023

キッズ携帯を買おうとしたらとんでもなくややこしく、結局iPhoneにした話

小学校中学年になると、周囲の子供たちがキッズ携帯を持ち始め、とうとううちにも「携帯買って欲しい」攻撃がやってきました。今では、どの携帯キャリアでも、子供向けの携帯である「キッズ携帯」や「キッズスマホ」を販売しているので、「何でもいいから適当に選んで買えばいいかな」と考えましたが、実際に調べてみるといろいろ問題に直面しました。結局、家に眠っていた妻の古いiPhoneを掘り起こし、ペアレントコントロールの設定を厳重にして使うことにしました。

Soranome時代


小学生になり、1人で登校し始めたタイミングで、SoranomeというGPSを購入しました。このサービスは、約10,000円で端末を購入し、月額500円程度を支払うことで、親の専用アプリで位置情報を確認できるサービスです。端末にはSOSボタンしかなく、通話などはできません。GPSの精度もそれほど高くなく、500m程度はズレることがあるので、「なんとなくこの辺にいそう」「どうやら動き出したらしい」といった程度の情報であれば問題ありませんが、たとえば、「あと何分で家に着くだろう?」といったことを知りたい場合には、向いていませんでした。何度か、GPS上ではまだ学童近くにいることになっているのに、実際には家の近くにいたということがありました。

また、SOSボタンは押されるとメチャメチャ焦りますが、電話機能がないためどうしようもなく、結局SOSではないことがほとんどで、うちではほぼ無意味でした。それでも、バッテリーは1週間くらい持ち、親の端末やキャリア依存はないので、小学校低学年に持たせるにはなかなか優秀だったと思います。最近はAirTagを付けている家庭もたくさんあるようですが、うちはAirTagの説明の中に「数時間端末から離れると音がなる可能性がある」という箇所を見つけたためやめることにしました。しかし聞くところによると、どうやら1日程度では音がなることはないみたいなので、今考えるとAirTagでも十分だったかもしれません。

そんな我が家にも「キッズ携帯買って!」攻撃がやってきました。

お友達が習い事や学童に1人で行くようになると、学校にかわいい色のキッズ携帯を持ってくる子が増えます。また、我が子も昔は怖がっていたのに、いつの間にか学校帰りに友達と公園に行ったり、友達の家に立ち寄ったりと、移動がイレギュラーになってきました。このような状況では、子供とリアルタイムで連絡を取る手段がないと非常に不安で不便になります。

そんなことがあり、ついにうちもキッズ携帯を契約することになりました。

キッズ携帯を探す

現在、3大キャリアからは子供用の端末であるキッズ携帯やキッズスマホが販売されています。


キッズ携帯とキッズスマホの違いは、インターネットに接続してウェブサイトを閲覧することやアプリをインストールして利用することができるかどうかです。キッズ携帯は、昔のガラケーに近く、データ通信ができないので(パケット通信はあります)、ブラウザもなく、アプリもありません。もしYouTubeを見せたくない、LINEを使わせたくない、それらの機能を端末レベルで制限したい場合は、キッズ携帯が最適です。

おそらく多くの親が、キッズ携帯やキッズスマホに求めている機能は

  • 決められた人しか利用できないメールや電話機能
  • 子供の位置を把握できるGPS機能
  • 勝手にアプリなどを利用できないコントロール機能
  • 防犯ブザー機能

くらいだと思います。

我が家では、すでに自分用のChromebookを与えており、親のiPadやスマホでYouTubeや様々なアプリを利用しているため、子供にスマホを与えるとトラブルが起こる可能性があると判断し、キッズ携帯を探しました。しかし、いろいろややこしいことがわかり、結局iPhoneを与えることになりました。

GPS機能は親と子供が同じキャリアではないと使えない

子供向けの携帯電話やスマートフォンにおいて、最も重要な機能の1つは子供の位置を把握できることだと思います。この機能は、すべてのキャリアで月額課金 + 従量課金の形で提供されています。現在はAirTagを子供のランドセルなどに入れておけば、かなり高い精度で子供の位置情報を把握することができます。そんな時代にキャリアはいまだ数百円の月額課金と従量課金で位置情報確認サービスを提供していることに苦笑しましたが、色々な大人の事情もあるのだろうと、この程度の料金であれば目をつぶることにしました。

しかし、実はさらに深刻な問題があります。それは、親と子供が同じキャリアを利用していない場合、見守り系のサービスが利用できないということです

つまり、ドコモのキッズ携帯を子供が持っていても、親がドコモの回線を利用していない場合、親は子供の位置情報を把握する機能は利用できません。同様に、ソフトバンクのキッズ携帯を子供が持っていても、親がソフトバンクまたはワイモバイルを利用していない場合、子供の位置情報を把握する機能は利用できません。

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Docomo の場合

つまり親が子供と同じキャリアで契約ををし直さないといけないし、キャリアによっては親キャリア(LINEMOではなくソフトバンク)しか認めていません。つまり親は高額キャリアに契約をし直す必要があることに加えて、子供のGPS機能を使い続けるためにキャリア変更ができないというわけです。

SIMフリーの端末はない

キッズ携帯は本体が1-2万円くらいする上に、SIMフリーの端末はありません。高額なキッズ携帯を買って、将来キャリアを変更しようと思っても変更することはできません。

通信量も通話料もけっこう高い

キッズ携帯では通常のものとは異なる独自の料金プランが設定されています。月額料金はどこも500円ほどですが、通話料は30秒で2-30円ほどかかります。もし子供が1分通話をすると約40円。1週間に5分通話をすると約800円が課金されます。

同一キャリアの家族内であれば、通話料が無料になるオプションを出しているところもあるようですが、そのためには家族全員同じキャリアを使う必要があります。

また最近のキッズ携帯では写真を撮ることなどができますが、写真をメールで送るときは、パケット通信料という料金が課金されます。キッズ携帯にはデータ通信機能がなく、すべて電話回線を使うため、昔のパケット料金のような従量課金制が導入されています。

このように考えると、月額料金は安くても、GPS機能のオプション月額料金と従量課金を払い、家族や親戚と電話をして、両親にメールで写真を送ってきたりすると、なんだかんだで月々2000円位はかかるのではないかと思っています。

何よりわかりづらい

そして、何よりストレスだったことが、とにかくこのキッズ携帯に関する情報はまとまっておらず、やりたいことを実現するためには謎のオプションへの加入が必要だったり、一見大丈夫そうでも「※」で下に小さく条件が書かれていたり、大変複雑で分かりづらいと言う点です。忙しいのに予約を取って携帯ショップに行っても、店員はキッズ携帯の仕組みはあまりよくわかっておらず、ひどいと店員ごとに違う説明をされたり、調べるために何分も待たされたり、大変ストレスでした。一応プロとしてインターネットに関する仕事をしている私が聞いて調べても本当に全容がよくわからないし、とにかく複雑でした。正直いつの時代の契約だよという感じです。

実ははじめはここに書いたような情報をまったく知らずに、少し調べただけでホイホイとネットで契約する寸前まで行っていました。もしあのまま端末を買って契約をしていたら、使い物にならないキッズ携帯を買う羽目になっていたので、本当にあの時思い留まって良かったと思っています。

iPhone のペアレントコントロールは本当に優秀


そんなこんなで、キッズ携帯は諦めて、シンプルに家に眠っていたiPhoneを引っ張り出してきて、ペアレントコントロールとスクリーンタイムをガチガチにかけて子供に渡すことにしました。

iPhoneのペアレントコントロールは、「さすが Apple」と言いたくなるくらいよくできていて、やりたいことはほぼ全てできます。

うちでは下記のような設定にしています

  • 電話、メッセージ、カメラ、写真以外の全てのアプリの存在を消す。裏側の設定でアプリのダウンロードを制限することに加えて、App Storeのアプリもホーム画面から消す
  • 電話やメッセージ(iMessage)を電話帳に登録されている相手以外に使えなくする。電話帳の編集権限は与えず、電話帳以外は発信も受信も不可にする
  • 設定画面のほぼ全てをパスコードがないと触れなくする
  • 親は常に子供の携帯の場所を把握できるようにする
  • AirDrop をオフにする
  • 21:00以降はメッセージアプリやカメラアプリ含めて、電話アプリ以外のすべてのアプリを利用不可にする
  • 写真を自動的に iCloud にアップロードして、必要に応じて親も確認できるようにする

こうして、キッズ携帯でやりたかったことはほぼ実現できました。防犯ブザーはありませんが、別に持たせればいいので問題ありません。

一番欲しかった位置把握については、iPhone なのでかなりの精度でリアルタイムに子供の居場所を把握できるし本当に便利です。

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月々の利用料は550円


キャリアは基本料金無料の povo にしました。povo は月額料金無料で、使いたいオプションの料金だけを払えばいいシステムです。

娘の場合、5分電話かけ放題550円だけつけました。データ通信は課金しないと超低速でほぼ使い物にならない速度しか出ませんが、テキストメッセージを送ることと、GPSしか使わないのでそれで十分です。

端末費もかからなかったし、大変満足してます。

解決しないといけない課題


ほぼ言うことないくらい満足していますが、いくつか課題もあります。

まず、現在メッセージには iMessage を使っていますが、Android には使えません。家族は全員 iPhone なので問題ありませんが、私の親戚でAndroid を使っている人にメッセージを送ると自動的にSMSになってしまい、1通70文字まで3.3円で課金されてしまいます。

これをデータ通信を使ったメッセージにするためには外部アプリを入れないといけないのですが、そうすると、ペアレントコントロールでの宛先制限ができなくなるので悩ましいところです。

次に、設定アプリを全て制限することができません。重要な部分は制限できますし、いまはやり方がわかってないので問題ありませんが、たとえば Wifi や Bluetooth には自分で接続できます。本当は設定アプリごとパスワードがないと開かなくしたいのですが、現状だとそれはできません。

最後に、すべてのロックは4桁のパスワードで行われてますので、子供にそれを解読されたら終わります。絶対にバレないようにしましょう。

課題はありつつも大満足


課題はありますが、総じて大満足です。さすが Apple としかいいようがありません。キッズ携帯やキッズスマホを検討されてる方は、よければ iPhone も検討してみてください。

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