Shoho Kozawa

October 11, 2022

強風でテスラが傷ついた話と損害保険の話

逗子の中でも海沿いに住んでいることもあって、少しでも天候が崩れると強風に注意しています。特に家のテラスにパラソルを置いているので、強風注意報が出るとパラソルを畳んだり、室内に避難させたりしていました。

DSC04080_Original.JPG


昨晩も風が強そうだったのですが油断して寝てしまっていたら、翌朝見事にこのパラソルが土台から吹っ飛んで車を傷つけてしまいました。

IMG_0525.JPG


朝から車両保険の申請をするために保険会社に連絡しつつ、ご近所さんの車じゃなくて本当に良かったとホッとしています。

災害で自分の家のものが壊れた場合は火災保険が使える


基本的に台風や強風などで自分の建物や家財が損害を受けた場合は、火災保険でカバーされる可能性があります。火災保険は「火災」という名前が付いていますが、実際は「火災や風災、水災、落雷などに備える保険」なのです。唯一の例外は地震で、地震(それに伴う噴火や津波)だけは火災保険の特約として販売される地震保険が必要です。

なお、あまり知られていませんが、地震保険は政府が「地震保険に関する法律」に基づいて保険会社と共同で運営しているので、どの保険も大抵内容は同じです。気をつけなければならないポイントは、地震保険には上限があって火災保険の契約金額の30%~50%、建物は5,000万円、家財は1,000万円が限度額なので、例えば津波で全損しても、あるいは引き渡しからすぐに被害にあってローンがほぼ満額残っていても、最大でも半分しか保障されず、全額が戻ってくるわけではありません。

火災保険の対象は自分が所有する「建物」か「家財」かその両方ですが、実は建物というのは、建物本体だけではなく、門や塀、車庫やカーポート、建物に直接備え付けた電気やガス、エアコン、浴槽などの設備も含まれます。家財というのはそれ以外の電化製品や家具、自転車、原付などです。

通常、風災によって損害を受けた家財は火災保険によって保障されます(もちろん加入している保険内容によります)。今回のように強風で自分の家財が被害に遭えば基本は保障対象です。しかし、火災保険において自動車は家財には入らないという規定があるので、自動車に火災保険は使えません。バイクも総排気量が 125cc以下、つまり原付は入りますが、それ以上は入りません。従って自動車の損害を守るためには自動車保険(車両保険)が必要ということになります。ただし車両保険は利用すると次の年からの保険料が上がるので注意が必要です。修理代が少なければ使わない方がお得なこともあります。

災害や火災で他人の家のものを壊した場合は火災保険を使えない


災害が原因で他人の家や家財に損害を与えてしまった場合はどうなるでしょう?例えば台風によって自分の家の瓦が飛んで、隣の家の窓ガラスを割った場合はどうなるのでしょうか?

実は火災保険は自分の家の建物や家財を守るための保険であって、他人に対して損害を与えた場合の保障は含まれていません。つまり、自分のベランダに置いていたもので他人の家を壊した場合や、自分の家が火事になって隣の家に多大な損害を出してしまった場合でも、被害者側の火災保険は利用できますが、加害者側の火災保険を被害者側の建物や家財に適用することはできません

このような事情を理解している方であれば「自分の火災保険で直すのでいいですよ」と円満に解決できる可能性がありますが、そのような理解がない場合や被害者側が火災保険に入っていない場合は「お前の火災保険で直せ!」と無理を言われる可能性があり、大きなトラブルに発展する可能性があります。

そして最もややこしいポイントは、そもそも日本の法律では、天災のような不可抗力によって他人に与えた損害は、過失(例えば、経年劣化による屋根のメンテナンスを怠っていたなど)がない場合は法令上の損害賠償責任は免責されるという点です。

一般の感覚からすると違和感がありますが、実は法令上は天災によって他人に与えた損害は、加害者の過失が認められなければ加害者側が保証する必要がないのです。また、火災は「失火責任法」という法律によって、よほど重大な過失がないと、火事を出してしまった人が周りの家を燃やしても賠償しなくてもよいことになってます。

「私は家で料理なんてしないから火災保険に入りません」という方は、万が一お隣さんから出火して自分の家や部屋や家財が全損しても補償がなくて良いということなのでご注意ください。お隣さんはよほどの過失がないと賠償責任を負いません。また賃貸住宅の方は、万が一お隣さんの火事で借りてる部屋がボロボロになっても、原状回復義務は消えませんので自費で原状回復して退去する必要があります。繰り返しになりますが、お隣さんの損害賠償責任は重大な過失がないと免責されます。

つまり法令上は天災や火災によって他人の財産に損害を与えても、過失がなければ「すいませんでした!」で問題ないわけです。それでもお金を払うという場合、それは法令上の支払い義務はないけれど可哀想だからお見舞金を寄付するという建て付けになります。ただそうは言ってもご近所付き合いと言うものがあるので、そう簡単にはいかないのが現実なのです。

みなさん、火災保険には入りましょうね。

災害で他人の車を壊した場合はマジでやばい


実は1番やばいパターンは、台風などの風災で自分の所有物が飛んで、他人の車を壊した場合です。

この場合「車は家財に入らないルール」によって、車の所有者の火災保険も使えなくなります。そうなると最終手段は被害者の自動車保険で直すことになりますが、もしその方が車両保険に入っていなかった場合、もちろん保険は使えませんし、自動車保険は利用してもらっても等級が下がった保険料を改め実際に損害を与えてしまうことになります。

その損害を賠償しようとしても、先ほどの「自然災害に起因する損害は過失がないと免責されるルール」によって、それらの損害賠償は多くの場合免責されます。免責されず損害賠償の責任が発生すると個人賠償責任保険が使えるので保険を使えますが、「大丈夫、これは自然災害だからあなたは悪くないですよ」というお墨付きが裁判所から付くと、そもそも賠償責任が消滅するので、個人賠償責任保険が使えません。「おまえは悪くない!」と言われた方がマズイ状況になり、「お前のせいだから弁償しなさい!」と言われた方がラッキーという、よくわからないことになります。賠償責任がなくなると、先ほどと同様お見舞い金という建て付けで自腹で全て補填するか、もしくは「いやいや、法令上は私に賠償責任はありませんので、お気の毒様です」という返答をして猛烈なご近所トラブルになるかということになります。

ご近所トラブルを防ぐためにも、台風や強風の時にはちゃんと事前に対策をしましょう(「お前がな!」って言われそうですが、はい、その通りです😭)。また、一軒家を持っている方は、台風や地震のあとに必ず家をぐるっと一周回って点検した方が良いです。特に地震の後は基礎のコンクリートが割れてないかなど確認をして、少しでも異常があったら写真を撮って、迷わずメンテナンスを依頼し、修理が必要なら保険会社に連絡しましょう。

ちなみに保険会社のSBIからは、朝一番で電話がかかってきて、傷ついたテスラは車両保険で治せそうです。

いやー、ほんと他人の車にぶつからなくて良かったです。。。

#免責: 保障内容などは契約によってことなりますし、わたしは保険の専門家ではないので、詳しくは専門家にご相談ください

About Shoho Kozawa

Working@Google👨‍💻 Traveler✈️ Tesla 🚘 Angel investor👼 Wine Lover🍷Luck is where preparation meets opportunity🤞
 
X / Instagram / Blog

📩shoho@hey.com