Shoho Kozawa

April 12, 2023

オーバーヘッドを考えて、自分の価値を上げよう

コンピューターやソフトウェア開発の世界に「オーバーヘッド」という言葉があります。オーバーヘッドとは、コンピューターシステムやソフトウェア開発において、本来の目的を達成するために必要なリソースや労力に加えて、システムの運用や管理、維持などにかかるコストや労力のことを指します。

オーバーヘッドとは?
  • 会計においては間接費を表す(⇒ 費用、経費)
  • 工学の分野では、金銭に限らない種々の間接的なコストがオーバーヘッドと呼ばれることがある
  • プログラミングや計算機科学におけるオーバーヘッドは、その処理の本質ではない演算に費やされる計算量を指す

例えば、料理を作る際の下ごしらえや後片付けのようなものです。料理の目的は、美味しい料理を作り、食べることですが、実際に料理をする際には、野菜を洗ったり、包丁で切ったり、調味料を用意したりと、様々な下ごしらえが必要です。また、料理が終わった後には、食器洗いや片付けも必要です。この下ごしらえや後片付けが、オーバーヘッドに相当します。

ポイントカードを出せば金銭的価値を得られますが、そのためには財布にカード持ち歩いたり、アプリを入れたり、レジで出したり、メルマガを受け取ったりしないといけません。これらはオーバーヘッドだと言えます。

このように、「本来の目的や価値を達成するために必要なコストや労力」のことをオーバーヘッドと言います。

オーバーヘッドを差し引く


いくら美味しい料理を作ることが目的であっても、下ごしらえに膨大な手間がかかると、その料理の価値は下がってしまいます。

私はポイントカードをほぼ持たないのですが、それは「ポイントとして得られる金銭的価値」を得るために必要な、ポイントカードを持ち歩く、レジで提示する、会員登録する、といった付随的に発生する手間やコストを多く見積もっているからです。

たとえば、ふるさと納税の価値は「ふるさと納税で得られる節税というメリット」から「ふるさと納税を行うために必要なコストや労力」を差し引いたものになります。現実には、節税という得られるメリットより、それを行うためのコストや労力が大きいと判断して制度を利用していない人がかなりの人数いると思います。

このように、何かの価値というのは「得られるメリット」から「メリットを受けるために必要なコストや労力」を引いたものであるわけです。

逆に言えば、この値が大きなものであれば、ポイントカードのようなものも持ちます。たとえば飛行機のマイレージや、大きな買い物をするときに10%近く値引きがされるものであれば喜んでそのコストを払います。テスラを買ったときに補助金をもらうための書類は本当に大変なペーパーワークで一番嫌いな労力でしたが、それで65万円ももらえるならそのコストを払います。

すべてはこの引き算の数値と自分の価値基準のバランスなわけです。

これを私たちの仕事に置き換えてみます。

オーバーヘッドを考えずに仕事を進めると、周囲から「この人はいい仕事をするけど、仕事を頼むのに手間がかかる」という評価を受けるケースに陥ります。たとえば、ちょっと相談したいだけなのにメールをしないといけない、予約を取らないといけない、事前に資料を準備しないといけない、数日待たないといけない、大した説明もなく取り合ってくれない、そもそも無視されるといったことが起きると、ひとことでいうと「めんどくさ!!!」ということになり、最終的には「いいや、別の人に頼もう」とか「いいや、自分でやろう」とか「いいや、無視しよう」ということが起きます。もちろんその人にとってそれは「プライオリティをつけるために必要な処理」でオーバーヘッドとは思っていないこともあると思いますが、受ける側がそれに同意していない場合は「めんどくさいこと」ということになります。よく、仕事ができる人は「即レス」と言われますが、これはまさにオーバーヘッドの話で、Aさんは LINE でぽんぽんやりとりできるけど、Bさんはメールしないといけない、返答を数日待たないといけないとなると、当然Aさんとは仕事をしなくなります。

いまの会社ではさまざまな人と仕事をしないといけません。そこで同僚とうまく仕事をするためには私の「本当に価値」、つまりそれは「私が仕事で出せる価値」から、「私と仕事をするために必要なコストや労力」を差し引いた値を上げることです。「コストを払っても余りある素晴らしい価値を出す」というアプローチもありますし「コストを下げて全体の価値を上げる」というアプローチもあります。どちらにしても、オーバーヘッドのぶん、つまり「めんどくささ」を考慮する必要があります。

勘違いしてほしくないのは「本当にそれは必要なことなのか考えよう」と言っているのであり、「全部を即レス・全受けして便利屋になろう」と言っているわけでは全くありません。

大きな会社では、自分を通過しないと前に進まない仕事というのはあまりありません。だからともすると、(バリューを出せてない人は論外だとして)たとえバリューがある程度出せていても、めんどくさいと思われると仕事が回ってきませんし、仲間に入れてもらえません。これは個人の仕事の価値を考える時も、あなたのチームの価値を考える時も本当に重要なことなんです。このチームを巻き込むとめんどくさいなと思われると、仲間にいれてもらえません。もちろん、そのめんどくささを上回るほどの素晴らしいバリューを出せれば別ですが。


自分の価値(バリュー)を極限まで上げて、「どんなにめんどくさかろうが、絶対この人を巻き込みたい、仲間に入ってほしい!」と思わせるという戦略もありますが、自分と仕事をするために相手に課しているオーバーヘッドを減らすというアプローチもあります。オーバーヘッドについて考えるとことは比較的大きな組織で働くためには非常に有効だし、大切だと思うのです。

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