今回自宅を建てる時に24時間全館空調システムを入れました。なかったときが想像できないくらい快適ですが、やはり湿度との戦いが続きます。加湿器を入れている人も多いと思いますが、湿度に関してそもそも勘違いしている人も多いようなので、まとめてみました。
みんな間違っている湿度のイメージ
まずはわかりやすい温度から考えてみましょう。温度の単位はご存じの「度(℃)」です(℉やケルビンなどもありますが、そこは無視)。水が凍る温度を0℃、沸騰する温度を100℃としています。
💡豆知識 「水は0度で氷になって、100度で気体になる、そんなキリのいい数字で凍ったり沸騰するなんて、水って神秘的ですね!」なんてバカなコラムを書いている雑誌がありましたが、そもそも「わかりやすいし、水が凍る温度0にして沸騰するのを100にする単位を作ろうぜ」って決めたのが我々が日頃使っている度という単位なので、たまたまそうなったのではなく、度という単位の定義がそうなのであたりまえです。騙されないでくださいね。ちなみに現在はもうすこし厳密な定義があります。
では、湿度とはなんでしょう?
大抵の方はこういうイメージを持っていませんか?
湿度とは「水が空気にどのくらい含まれているのか?」の度合い🤔
違います!
湿度って何?
僕たちが普段吸っている空気には目に見えない形で水が含まれています。これを水蒸気と言います。電気屋で加湿器から煙出ているあれです(実際には水蒸気は透明ですが、イメージはあれで大丈夫!)。この水蒸気に関わる3つの大切なことがあります。
まず
💡空気には水蒸気を含めることができる最大の量が決まっている
というところです。空気は無限に水を蓄えられないんですね。最大このくらい!っていうのが決まってるんです。高校で化学を習った人は飽和水蒸気量って習った思います。あれです。
次に大切なポイントが、
💡空気が蓄えられる水蒸気の量は、空気の温度によって変わる
というところです。たとえば25度の空気なら最大このくらいとか、10度の空気なら最大このくらいとか、決まっているんです。
そして3つ目の重要なポイントは
💡温度が高い空気のほうが、たくさんの水を蓄えられる
ということです。夏の空気のほうがたくさん水を蓄えられます。
そして、僕たちが使っている湿度〇〇%というのは
🙅♂️「この空間の空気にどのくらいの水蒸気が含まれているか」(多くの人の勝手なイメージ)
ではなく
「この空間の空気が含めることができる最大の水蒸気の量を100としたら、実際にはどのくらいの水蒸気が含まれているか?」
ということなんです。
難しい!
つまり、湿度60%というのは、あなたの周りの空気が蓄えられる水の最大量に対して60%をすでに蓄えている状態、つまりバケツに水が60%入っている状態ということを示しています。逆にいえば残り40%をまだ追加で蓄えることができるともいえます。
難しい!
つまり、湿度60%というのは、あなたの周りの空気が蓄えられる水の最大量に対して60%をすでに蓄えている状態、つまりバケツに水が60%入っている状態ということを示しています。逆にいえば残り40%をまだ追加で蓄えることができるともいえます。
これが湿度です。
一見良さそうに見えますが、問題はこのバケツの大きさが温度によって変わるということなんです。
湿度を見ても水の量はわからない
たとえば、ドラム缶に水が10%だけ入っていたとします。これを湿度は10%としましょう。一方でコップに水が50%入っていたとします。これは湿度50%の状態です。
では実際の水はどちらが多いですか?
実際には10%の方が含まれている水が多いですよね?つまり湿度のパーセント表示だけ見ても、みなさんが本当に知りたいこと、つまり「その部屋にどのくらい水が含まれてるのか?」はわからないということなんです。
湿度40%だと部屋は乾燥していて、湿度80%だと潤っているようにイメージするかもしれませんが、実際にはわからないのです。イメージ通りのこともあれば、周りの水の量は同じなこともあるし、驚くことに湿度40%のほうが周りの水分量が多いこともあります。
夏になると気温が上がります。気温が上がると「水蒸気が蓄えられる最大量」が上がります。逆に秋から冬になると寒くなります。寒くなると先ほどと逆で、黄色が減るので湿度が同じでも、実際に空気に含まれる水分量は全然違ってきます。
つまり夏の湿度50%と、冬の湿度50%は、同じ湿度50%でも、実際に飛んでる水の量は全然違うのです。
夏の50%はジメジメしますが、冬はそんなことないですよね。それは当たり前で、実際にあなたの体の周りの水の量が全然違うからです。
では実際の水はどちらが多いですか?
実際には10%の方が含まれている水が多いですよね?つまり湿度のパーセント表示だけ見ても、みなさんが本当に知りたいこと、つまり「その部屋にどのくらい水が含まれてるのか?」はわからないということなんです。
湿度40%だと部屋は乾燥していて、湿度80%だと潤っているようにイメージするかもしれませんが、実際にはわからないのです。イメージ通りのこともあれば、周りの水の量は同じなこともあるし、驚くことに湿度40%のほうが周りの水分量が多いこともあります。
夏になると気温が上がります。気温が上がると「水蒸気が蓄えられる最大量」が上がります。逆に秋から冬になると寒くなります。寒くなると先ほどと逆で、黄色が減るので湿度が同じでも、実際に空気に含まれる水分量は全然違ってきます。
つまり夏の湿度50%と、冬の湿度50%は、同じ湿度50%でも、実際に飛んでる水の量は全然違うのです。
夏の50%はジメジメしますが、冬はそんなことないですよね。それは当たり前で、実際にあなたの体の周りの水の量が全然違うからです。
絶対湿度の話
大抵の場合、私たちが知りたいのは最大の量に対する何とか。。などという小難しい話じゃなくて
自分の周りにどのくらいの水があるの?
これだけです。これを表す湿度があります。それを絶対湿度と言います。
定義は簡単で(実はたくさんありますが割愛)
あなたの周りの空気に何gの水があるか?
これだけです。温度も季節も関係ない。わかりやすい!皆さんのイメージは絶対湿度だったわけです。
これはウェザーニュースが公開しているグラフです。
みなさんは左の相対湿度をみて、同じ湿度ならいつも同じ量の水が自分の周りにあると思っていませんでしたか?しかし実際は全然違います。
たとえば、湿度60%をみてください。
冬の寒い時期、気温が10℃で湿度60%とき「あなたの周りに5.6gの水がある」ことがわかります。ちなみに絶対湿度5.6gは砂漠並みに乾燥してます。
一方で、夏の暑い時期、25℃をみてください。同じ湿度60%ではあなたの周りの空気に含まれている水の量は13.8gです。同じ湿度60%なのになんと周りにある水の量は夏と冬で3倍近く違います。これが夏のジメジメの原因であり、湿度だけ見ても周りにどのくらいの水があるかはわからないよ?という意味です。
その他にこの図からいろいろな大切なことがわかります。
たとえば
- エアコン25℃に設定して湿度50%だと11.5g
- エアコンを少し我慢して20度で湿度65%だと10.4g
なんと、25度で湿度50%の方が潤ってるんです!ですから、相対湿度計だけみて、エアコンを何度とか、湿度何%だといいとか、悪いとか、そういう話は本当に意味がないです。
たとえば冬の気温10度の雨の日、湿度が90%まで上がったとします。相当潤ってそうですよね?しかし水の量は8.5gしかありません。一方でエアコンと加湿器で25度・40%にした場合9.2gなので、自分の周りの水分量は多くなります。
何度も言いますが、90%より40%のほうが潤ってるということは現実に起こってるのです。湿度だけでは何もわかりません。もしかして加湿器とエアコンを止めて窓を開けたりしてませんか?恐ろしい…
もし、湿度60%だと体にいいとか肌にいいとかいう人がいたら「それって気温が何度の時ですか?」と聞いてみてください。だって同じ60%でも気温によって3倍近くも潤いは違うんですよ?もし意識するなら、あなたの周りの空気には最低どのくらいの水分量があったほうがよいのか、つまり絶対湿度何グラムを目指すか?です。
絶対湿度計がおすすめ!
このウェザーニュースの表を冷蔵庫に貼って、横に温度計と湿度計を置いてもいいですが、実はこのグラム数を出してくれる絶対湿度計というものがあります。あまり量販店では置いてませんが Amazon なんかでは買えます。これを買って各部屋に置いておき、自分が目標とする絶対湿度(グラム数)を目指して加湿器を置いたりすれば超簡単です。
この絶対湿度にはすごくいい点があって、インフルエンザや熱中症の予防になります。
たとえば、国立保健医療科学院によると、インフルエンザウイルスが6時間生きられる湿度は下記であることがわかっていて、絶対湿度を絶対に7gより下げないことがインフルエンザにならないための重要なポイントなのです。
インフルエンザウイルスの6時間生存率 🦠絶対湿度11gの場合 5% 🦠絶対湿度7gの場合 20% 🦠絶対湿度5gの場合 50%
もし、赤ちゃんや高齢者がいる家庭でコストをかけてもいいからインフルエンザを防ぎたければ、11gを目指せば5時間で95%のウィルスが死滅することになるので相当防ぐことができます。
この11gですが、
- もし20度なら湿度65%以上
- もし25度なら湿度50%以上
- もし10度なら無理
ということが上の表からわかります。何度も言いますがパーセントだけ見てもわからないんです。
絶対に死守したい絶対湿度7gを目指すとすると、
- もし20度なら湿度45%以上
- もし25度なら湿度35%以上
- もし10度なら無理75%以上
ということになります。
赤ちゃんや高齢者がいるご家庭は、絶対湿度計が相当便利ですよ。私は何度か出産のお祝いに絶対湿度がわかる高級温度湿度計を送ったことがあるのですが、ちゃんと説明すればすごく喜ばれます。
自宅でいま使っているのは「みはりん坊ダブル」というやつで、名前はかわいいのですが安くてシンプルで気に入っています。
湿度とエアコンの話
湿度を上げるためにエアコンをあまりつけないという人がいますが意味がわかりません。湿度を上げたければ、やることはエアコンの温度設定の調節ではなく、加湿器の設置です。温度を下げると、見た目の相対湿度は上がったように見えますが、実際に含まれている水の量は変わらないですからね!温度を上げ下げしても突然水が現れたら、消滅したりはしません。それは相対湿度に騙されてます。
たしかにエアコンをつけると乾燥する場合があります。それは温度設定の問題ではなくエアコンの空気循環によってせっかく加湿した空気が外に逃げてしまうからであって、温度設定を上げ下げしても、あなたの周りの水の量は変化しません。
じゃあエアコンを切ればいいのかというと、最近建てられた家はマンションも戸建てもシックハウス症候群対策のために24時間強制換気システムが入ってます。これは法規で決まっていますので、入れないと家を建てられません。つまりエアコンをいれてもいれなくても、部屋の中の空気は1時間くらいで約半分が入れ替わります。冬であれば数時間も経つと外から砂漠並みに乾燥したひんやりした空気と全部入れ替わってしまいます。残念。。。
たしかにエアコンをつけると乾燥する場合があります。それは温度設定の問題ではなくエアコンの空気循環によってせっかく加湿した空気が外に逃げてしまうからであって、温度設定を上げ下げしても、あなたの周りの水の量は変化しません。
じゃあエアコンを切ればいいのかというと、最近建てられた家はマンションも戸建てもシックハウス症候群対策のために24時間強制換気システムが入ってます。これは法規で決まっていますので、入れないと家を建てられません。つまりエアコンをいれてもいれなくても、部屋の中の空気は1時間くらいで約半分が入れ替わります。冬であれば数時間も経つと外から砂漠並みに乾燥したひんやりした空気と全部入れ替わってしまいます。残念。。。
部屋を閉めて部屋の大きさに合わせた加湿器をちゃんと入れる
当たり前ですが加湿したければ、これしかありません。
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ということで、まとめますと
⭐️湿度には相対湿度と絶対湿度がある ⭐️自分の周りの水分量は気温によって全く異なる可能性がある ⭐️自分の周りにどのくらいの水があるのか?を知りたければ絶対湿度を見よう
ということです。日本は夏はじめじめ、冬は砂漠並みの乾燥で大変ですが、科学の知識を総動員して快適に暮らしていきましょう!
お読みいただきありがとうございました😀
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