People manager (部下を持つ職位)になると多くのトレーニングを受けるのですが、その中でも初めに学ぶ考え方に「Put your oxygen mask first」というものがあります。
あなたが自分の子供と飛行機乗っているときに酸素マスクが降りてきました。あなたは自分の酸素マスクをまずつけますか?それとも子供の酸素マスクをまずつけますか?
実は、この答えは倫理的なものではなく、世界の航空会社で統一されています。
親は子供に酸素マスクをつける前にまず自分の酸素マスクをつけて、自分の安全を確保することを最優先とする。
細かな理由が気になる人はこのビデオをご覧ください。
機内の気圧が下がり酸素マスクが降りてくるような状況になると、脳に十分な酸素が供給されず、人間はあっという間に冷静な判断ができなくなってしまいます。自分の冷静な判断力を維持することを最優先にしなければ、子供を助けることなどできないのです。
自己犠牲という偽りの美しさ
自分でチームを持つと、自分を犠牲にしてとにかく部下の命を助けることこそが上司の役目であるかのように錯覚してしまいます。特に世界でも類を見ない日本人の献身的な文化ではなおさらです。それが美しいとさえ思ってしまいます。
自分は夜遅くまで働き、土日も十分に休めず、常に上司や周りからのプレッシャーを感じている。それでも自分のことより、まず部下の心配をしてしまう。メンタルは大丈夫だろうか?働き過ぎていないだろうか?毎日楽しく働けているだろうか?
部下にはたまには休暇を取るように勧めても、自分は気づけば長い休暇を取ることは稀で、取れたとしても周りの目や部下のことが気になって長期休暇は取れず、1-2日家でごろごろするばかり。
本当は別のことがやりたかったとしても、自分のキャリアなど会社の事業成長に比べればたいしたことはない、このチャンスを与えてくれた会社を裏切るわけにはいかないと、あれだけ部下にキャリアの話をしているにもかかわらず、自分のことになると、あたかもキャリアなどないかのように自分に言い聞かせる。
まるで子供の酸素マスクをつけて自らの命がなくなっても本望であるかのように、とにかく周りの人たちの酸素マスクをつけ続けたいく。特に部下に対して献身的なマネージャーであればあるほどこの傾向にあるそうです。
まず自分の酸素マスクを付けよ
しかし、本当にチームのことや持続可能な事業成長を考えるのであれば、マネージャーは、とにかく自分が常に良いコンディションであることを優先すべきなのです。自らの肉体的、精神的な健康まずは最優先すること。それがこの「Put your oxygen mask first」という原則です。
私が5年前に今の会社に入ってまず初めに習ったのはこの大切な原則でした。
当時の私はこれを聞いて目から鱗でした。マネージャー研修と聞いてわたしが想像していた事は、いかにマネージャーは部下に対して献身的であるべきなのかということでした。しかし初めに言われたことが、自分を優先していい、自分の肉体的、精神的健康をまず第一に考えなさいだったからです。(もちろんそのあとに部下に対する献身的なサポートの重要性も学びました)
見せかけだけではなく本当に余裕がある上司を目指そう
上司がいつもパツパツで時間に追われている。そんな状態では正しい判断はできません。見えるものが見えなかったり、ぼやけたり、ブレたりします。毎日仕事に忙殺されていては、部下が相談したくてもできるわけもなく、ますます距離は離れてしまいます。恐ろしいことに自分のコンディションが悪いと、気付かぬうちに自分がチーム全体のボトルネックになるのです。
何より上司が壊れてしまう。
だから余裕を持って、のんびり構えるくらいがちょうどいいのです。疲れたら休む。家族や恋人、友人やパートナーとの時間を大切に。適度な運動。たまには体のメンテナンスも忘れずに。イライラしてたり不安なことがあれば迷わず誰かに相談する。やりたいことがあれば自分の気持ちに正直に。やるべきことに毎日忙殺されているのは🙅♂️過度なワーカホリックも🙅♂️
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新型コロナウイルスの影響でリモートワークが増えて、肉体的だけではなく、精神的にもストレスフルな状態が高まっているそうです。
こんな時期だからこそ、自分のコンディションを定期的に改めて確認しようと思います。皆さんもぜひ!