Shoho Kozawa

August 21, 2021

「ビジョンへの共感」とは何か?

先日、100人ほどの会社で働く友人と飲んでいた時に採用に困っているという相談をされました。今の会社でも前職でもそれなりに採用を経験をしてきたので、面白い話題だなと思い詳しく聞いてみると、能力があってもビジョンへの共感が小さすぎて、ぜんぜん採用できないというのです。

ビジョンへの共感って一体なんだろうか?


確かに、「ビジョンへの共感」は最近の採用では息をするように当たり前に語られています。どんなに能力が高くてもビジョンに共感してないと入社させてはならぬ!というのは採用界の固い掟のように言われていて、最近その掟がより強くなっている気がします。このような採用方法のことを「共感採用」と言うそうです(初めて知りました)。

共感採用とは、一般的に求人票に記載されるような給与や業務内容、待遇などの「条件面」ではなく、会社の成し遂げたいビジョンやその事業を行う背景にある想いなどを打ち出し、「その人が共感するかどうか」を重視して人材の採用を行う手法です。

ビジョンへの共感は本当に必要?


誤解されないように書いておくと

「会社のビジョンなんて知るか!関係ねーよ」という人でも採用しましょう!

と思っているわけでは全くありません。しかし、本当に採用の段階でそこまでの盲目的に信仰するレベルで会社のビジョンに対する共感が必要なのか?と思うのです。

たとえば(特定の会社をイメージして書いていませんので誤解なきよう)、ある会社が「農業で世界を変える!」というビジョンを持っていたとします。じゃあそこの社員は、全員が農業に人生を捧げるくらい情熱を持つべきか?というと、もしかしたら必ずしもそうじゃないかもしれない。

「農業はよくわからないけど、目の前の中小企業の人たちの人生をちょっとだけ変えられるかもしれないと思った」

だって素晴らしい考え方かもしれないし、

「60歳のおじいさん、おばあさんにITの凄さを感じてもらってびっくりさせたい!」

というモチベーションだっていいかもしれません。

「事業内容は何でもいいからAさんと一緒に働きたい」

という人もいるかもしれないし、もしかしたら

「ストックオプションで一財産築きたい」

という人がいるかもしれません。

その中に

「農業に小さい頃から興味があって、そこに従事している人たちの生活をテクノロジーで激変させたい」

という人がいてももちろんいい。人のモチベーションなんてものは十人十色。採用で「最高です!」と耳障りのいいことを言われても、人の心の中がどうなってるかなんてわかりません。採用においてもっとも大切なのは、チームに貢献できる最高の人材を雇うことです。

会社のビジョンに対して明確に反対している人はきっとやめた方が良いのは当然。しかし、会社のビジョンが理解できていて、同意ができて、ワクワクしていれば、その程度でも十分ではないですか?

むしろ順番は逆で、最高の人材が入社してきたら、今度は経営者やそのビジョンに共感している人が、長い年月をかけて、様々な場面で自分たちが夢見ているそのビジョンの尊さを語ればいいのではないかと思います。仕事の楽しさや面白さなんてやってみないとわからないことの方が多い。ある日突然熱狂することだってある。胸に手を当てて正直に答えてみてください。本当に今の会社のビジョンにあなたは共鳴したから入社したんですか?やっていくうちに楽しさに気づいてのめり込んだのではないですか?

もし私が採用基準を決められるなら、価値観への共感は求めます。そして高い能力も求めます。豊富な経験もあれば素晴らしいでしょう。「ビジョンへの理解」という項目もそれなりに高いところにあります。しかし「ビジョンへの共感」という項目が書かれているのは、きっとリストの最後のほうだと思います。何かに対する共感なんて、宗教か洗脳でもない限り、そんな簡単には生まれないことを知っているからです。長い年月が必要だと思います。

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