Shoho Kozawa

November 5, 2023

今の仕事でもけっこう多くのことを学べるじゃない?っていう話

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最近、キャリアと現在の仕事との関係について多く相談をされます。

「現在しているこの仕事が、将来の目指すキャリアにどうつながるのかわかりません」
「将来のキャリアを考えると、こういうプロジェクトに携わりたいと考えています」

自分の目指しているキャリアゴールに対して「役に立つ仕事」とか「役に立たない仕事」みたいな概念があるようなんです。

実はこうした悩みはマネージャーにもよくある悩みでもあります。

「〇〇さんのキャリアを考慮すると、どんな仕事を割り当てるべきか迷っています」という相談をよく受けます。「その人に役に立つ仕事」とか「その人に役に立たない仕事」みたいな考え方なんだと思います。

しかし、僕はほとんどの場合、よほど特殊なキャリアパスを描いていない限り、今いる環境からでも学べることなんてまだまだあるじゃん!って思ってしまいます。

たとえば「マネージャー経験を持ちたいからマネージメントができるポジションに異動します」みたいなケース。たしかに気持ちはわかるし、そのチャンスがあるならぜひそうした方がいいと思います。環境は自分の成長速度にかなり大きなインパクトを与えるので、環境にはこだわった方がいいです

しかし、ではマネージメントポジションに異動しないと組織戦略が学べないかというとまったくそんなことはないと思っています。

たとえば、

  • 今いるチームの生産性をより高めるためにはどうしたらいいか?をマネージャーとランチのときに議論してみる
  • 自分の同僚にもし自分がマネージャーとして評価をつけるとしたらどう評価するか?それはいまのマネージャの評価と同じか?違うなら理由はなにか?をマネージャーと話してみる
  • 限られた人的リソースで最大の生産性を実現するための最適な組織戦略をドキュメントにまとめてみる
  • チームミーティングのファシリテーションをやってみる
  • 四半期ごとの目標設定のプロセスのときに自分の意見をまとめてマネージャーに話してみる

今の環境でもやれることはたくさんあるわけですね。じゃあ「そういうことってやってみた?」と聞くと、多くの場合「やってません」ってかえってくるわけです。それはもったいない。

たとえば、経営を学びたいからMBAに行きたいという人がいます。もちろん素晴らしい選択です。MBAは練られたカリキュラムの中で経営を網羅的に学べるので素晴らしい成長の機会だと思います。

しかし、ではMBAに行かないと経営が学べないかと?いうとそんなことはまったくないわけです。たとえば

  • 自分がリーダーになったつもりで事業戦略を書いてみて、それをマネージャーなどに見てもらう
  • 適切な人材投資と人員配置について戦略を立ててみる
  • 多様性や女性のガラスの天井問題について、自分ならどのようなアプローチを取るのか考えてみる
  • 自分のチームのビジョンやミッションを作ってみる

やれることはたくさんあります。むしろ自分の仕事の環境であれば MBA よりも遥かに現実的かつリアリティがあるシナリオで学ぶことができるとも言えます。

経営やマネージメントのような小難しい話だけではありません。たとえばコンビニでバイトをすれば、ロジスティックス、在庫管理、人材管理、いろんなことを経験できます。スタバでバイトをすれば、きっと企業カルチャーが経営に与えるインパクトを学ぶことができるはずです。それらを業務と捉えるか、経験やチャンスと捉えるかは、人それぞれです。

自分の個人的な経験を1つお話しします。

僕は大学の時、ある大学受験予備校でアルバイトをしていました。メインの仕事は生徒の質問に答えるチューターでしたが、その他の仕事も(モノによっては勝手に)いろいろとしていました。生徒との定期面談やメンタルケア、時々保護者が飛び込みで来たら営業をして、新校舎ができるとなれば家から少し遠くても積極的にその校舎に入って、社員さんに頼んで校舎別PLなんかも見せてもらって、あとは少し暇な時間ができたら1コマ90分で数十万円近く稼ぐ日本トップ講師たちの授業を見ていました。

そこでは実にいろいろなことを学びました。

人気講師が人気講師たる所以、喋り方や仕草、圧倒的にわかりやすい教え方を見て「人に何かを伝える」という技術の真髄を学びました。保護者対応では成約率を上げるために試行錯誤して、時には失注して、時には受注して、営業の経験を積みました。綺麗な仕事ばかりではなくクレーム対応なんかも何度もやりました。急に校舎に電話がかかってきてクレームだとわかった時に、どのように鎮火させるか?どのような時に社員に引き継ぐのか?自分で試行錯誤して学びました。

時々暇な時には近くの高校の校門近くに朝早くから行って生徒にペンが入ったチラシを配りました。ただビラを配るだけでもいろいろ工夫しながら「どうやったらより多くの生徒がもらってくれるんだろう?」といろいろ試行錯誤しました。やっていることはただのビラ配りなのですが、考えて、仮説を立てて、試して、振り返って、また考えて・・・と続けていくと、不思議ともらってくれる生徒が増えるようになりました。

もちろんバイトだから、何も考えずに手足となって、決められた時間に動けばお金はもらえます。しかし、何かを学ぼうと思えば、どんなところにもチャンスはそこらじゅうに転がっているわけです。そこで学んだことが社会人になってももちろん活かされて、いまでもそんな環境で3年くらい働けたことに感謝しています。

先ほども書いた通り、環境は想像以上に我々の成長速度にインパクトを与えるので、いい環境にはこだわった方がいいと思います。しかしそれと同時に、どれだけ「今ある環境で学んでやろう」と思うかもすごく大切です。

ぼくは、すごく特別なケースを除いて多くの場合、自分がいまいる環境でも、学ぼうと思えばけっこう多くのことを学べるし、結局置かれた環境からどのくらい学べるかは自分次第なんじゃないの?って思っています。

何かやりたいと思った時にやれなかったり、うまくいかなかったりした時に、外部環境を原因にしちゃうとそこから話が進まなくなります。仮にそうだったとしても、常にこの環境の中で、より成功確率を上げるために、もしくは何か1歩でも前に進むために、自分にできることがあるとすれば、それは何だろう?と考えるほうが成長の速度は何倍も違うと確信しています。

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