昨晩、金曜ロードショーで『紅の豚』を観た。
公開された当時、映画館で観たかったことを思い出した。当時は中学生でバスにも電車にも乗ったことがなかったから、ひとりで映画館に行くのハードルが高かった。当時の映画館は中学生には危ない場所だった。
初めて映画館に行ったのは子供の頃の「東映まんがまつり」だった。父親が僕ら兄弟を映画館に連れて行って、映画が終わるまで外に出て適当にどこかで遊んでいた。今考えるとひどい話だけど戦前の生まれの男性だから。これでもまだマシな方だったのかもしれない。
高校生の頃に『ターミーネータ2』と『フリントストーン』を観に映画館に連れて行ってもらったのが、父親と二人だけの数少ない思い出の一つだ。僕は三人兄弟で父もあまり家にいなかったので、父との二人だけの思い出はない。あとは小学生の時にテレビでドラえもんが見たいと言ったら、間に合うように急いで帰ってくれたのも覚えている。ここまで書いて気づいたけど、兄弟が多かったから父と二人だけで過ごした記憶が少ない。だからどの思い出も貴重に感じるんだろう。
久しぶりに『紅の豚』を観たら、新聞に載っていた映画の上映時間を見ながら観に行くか悩んでいたことと、数年後に父と二人で映画館に行った思い出が重なって思い出された。
今では映画館で映画を観ることは僕の楽しみの一つになっている。一人暮らしを始めてから映画館に足を運ぶようになった。以来ずっと映画館に行くのが好きだ。数少ない趣味の一つと言える。それはもしかしたら父親のおかげかもしれない。
ノスタルジックな雰囲気を漂わせるポルコ・ロッソに影響されたのか、ウィスキーを飲みながら懐かしい古い記憶に浸っていた。